先日、職場に一人の老人が営業に訪れた、ひと目見ただけで、約20年前にいっしょに働いた方だと分かった。
当時、僕と、彼は、こまごまとした手を抜いても良いとさえ思えるような事務作業の仕事をしていた。
彼はどちらかと言えば、人を仕切る才能を持っているような人で、チマチマとした仕事をするのは向いていなかった。
結局、彼のやった杜撰だったり、放り投げたこまごました仕事の後始末は、全て僕がやる羽目になった。
しかしながら、彼は、重要な大きな仕事がかった交渉事は、上手くまとめていた。こじれかかった交渉事も彼の度胸でまとめてしまった。
僕としては、性格は合わなくて、こともあろうに苦言を呈してしまって、すごく険悪になったこともあったが、それなりに尊敬はしていた。
そして、僕が、その職場を去ってから約20年後、なぜか彼がやってきた。
どうも、他に知り合いがいたらしい。
気付いた僕は、迷惑をかけられ、嫌な思い出を共有していることもあり、思わず、距離をとってしまった。
そして、ただ御健在であることに少し嬉しくなった。
彼が、帰ってから、知り合いから情報を得た。話していた内容というと。
・ もう78歳になり、いつ死んでもおかしくない歳になった。
・ 経営者である知人に乞われて、子会社に勤務したら、気が付いたら役員にまでなっていた。
・ 年齢が年齢であるので、引退したいのだが、引き留めてられて困っている(少し自慢あり)。
なんて、話だったそうだ。
彼は、家族にも恵まれ、財も築き、好きなことをやってきているようだった。
羨ましくもあり、恨めしくもあり、複雑だった。
人生なんて、そんなものなんだろうな。
彼は、まさしく勝ち組だ。
でも、僕は、そんなあなたに近づきたいとは思わない。
これもまた、人生だ。