イアン・マキューアン著の「未成年」を読んだ。
読後にすぐには、よくわかりませんでしたが、何となく分かったような気がする内容でした。
(以下ネタバレ含む)
緊急に輸血する必要があるけれども信仰上の理由からそれを拒否する未成年者のアダム。
病院から彼に輸血する許可を求められ、裁判官フィオーナは、未成年であり自己決定権は制限されており児童福祉の観点から輸血することは合法的と判断。
ここまでは、予想どおりの展開。
そして、アダムは宗教の教義との間で苦しむことになる。
宗教は、心を強烈に支配しているものだと感じました。
死後に待ち受けているものについて、明確な「観念」を示して、取るべき行動を迫っている。
「信仰への殉教者」として命を失うことだって求めている。
「悪魔的儀式による児童虐待」と思えるものに対して法で救えたとしても成人になってしまえば、救えない。
パートナーの「彼は信仰のために死んだんだな」という呟きに対して、
フィオーナは「自殺だったと思う」と返答。
信仰を理由に、ある意味、成人であれば自殺を止められない法律もどうかと感じた。
法との間で、軋轢を生じさせ結局は勝ってしまう、信仰や、道徳や、因習のもつ支配力の怖さを感じました。